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・「第19回 人手不足の決定打」2016年3月
・「第18回 人手不足の決定打」2016年2月
・「第17回 人手不足解消策」2016年1月
・「第16回 人手不足解消策」2015年12月
・「第15回 人手不足の決定打」2015年11月
・「第14回 人手不足の決定打」2015年10月
人手不足でどうなる物流のページはこちら→
1.評判悪かった鉄道輸送

1980年代前半の鉄道貨物は国鉄(日本国有鉄道)により輸送されていました。すでにその主役の座をトラックに明け渡していたものの、鉄道貨物は素材原料や化学品、ビール、紙といった大量ロット貨物ではまだまだ重要な輸送手段として存在感を示していました。
ただ、前回も述べたとおり、当時の鉄道貨物は使い勝手が悪く、荷主の評判は決して高いものではありませんでした。日本の貨物輸送が鉄道からトラックへ大規模にシフトされたことと、現在の深刻なドライバー不足が物流の危機を招いていることとは決して無縁ではないと思われますので、それを端的に示すエピソードを一つ紹介しましょう。



2.利用運送事業とは

その前に、鉄道輸送と通運事業者の関係を少し説明しておく必要があります。鉄道輸送は、両端の集荷、配達を行う通運事業者による「利用運送事業」によって行われるのが一般的です。利用運送事業とは1988年に制定された「貨物利用運送事業法」により明文化された、自らは輸送手段を持たずに他の輸送手段を利用して輸送を行う事業のことです。
国際物流では「フォワーダー」といわれる事業者がこの利用運送事業者に該当します。フォワーダーの代表である近鉄エキスプレスや日通などは、国際物流の両端であるトラックの集配を自らのトラックで行う一方、メインの海上輸送や航空輸送部分は日本郵船や日本航空などキャリアと呼ばれる実運送業者を利用して一貫輸送を行います。荷主に対しては、発地から着地までの輸送について通し運賃を提示し一括して請け負う(輸送責任を担う)形となります。荷主からすれば、個々の輸送業者との運賃交渉や輸送手配をする手間が省け、しかも単一の運賃で運んでもらえるわけですから大変便利な事業者といえます。




フォワーダーは自らの責任で輸送を行うわけですから、運賃も自由に決められます。キャリアである船会社や航空会社との取り決め運賃も貨物の集荷力に応じて有利な条件を引き出すこともできます。当然キャリアの運賃を荷主に知らせる必要もありません。 鉄道輸送における利用運送もまったく同じ理屈で、運賃は通運事業者が独自に決めることができますし、ましてその中の鉄道運賃がいくらかといった情報をオープンにする必要はありません。


3.利用運送ではなかった国鉄貨物

ところが、この利用運送事業法が施行される以前の鉄道輸送は何とも奇妙な輸送契約となっていました。筆者自身いまだにうまく説明できないのですが、大口の荷主との鉄道運賃は国鉄と荷主が直接取り決め、通運事業者は両端の集配料金を取り決めます。つまり厳密にいえば、鉄道部分は国鉄と荷主、両端は通運事業者と荷主の輸送契約となります。ところが、これを「3社契約」と称して一括契約を行う仕組みになっていました。
鉄道運賃は通運事業者が国鉄に立て替え払いを行い、後ほど荷主から通運運賃も含めた総運賃として回収します。輸送責任はそれぞれが負いつつ、運賃回収は通運事業者が代行するという形ですから、荷主にとっても国鉄にとっても大変都合のいい契約形態となります。一方通運事業者にとっては、鉄道運賃がガラス張りとなってしまっているので、鉄道運賃を独自に決められませんし、手数料の上乗せもできません。運賃回収リスクだけを負った契約です。



4.事故報告と処理を通運事業者が代行

バブルが絶頂を迎えようとしていた80年代半ば、ちょうど国鉄が分割民営化される直前のことでした。当時は前回紹介した30トン積みの貨車での輸送が主流でした。そんなある夏の日、青森駅での貨物列車連結作業中に、ブレーキミスでビールを満載した貨車3両の突放(とっぽう)事故が発生しました。突放事故とは、貨車を連結する際の減速不十分により貨車同士の衝突が起き、中の貨物が破損してしまうことです。
悪いことに当時のビールは缶ではなく、瓶ビールが主流でしたので、衝撃により3両90トン分のビールはほとんどが破損してしまいました。現場を確認した関係者によれば、割れた瓶から流れ出したビールが貨車の扉から地面に「滝のように」流れ出していたといいます。
問題はこの後です。通運事業者の営業担当であった筆者は、まず破損したビールの明細と弁償金額の記した「事故報告書」を作成し、国鉄に提出します。そして国鉄に「頭を下げて」証明印を「いただき」、弁償金の支払いを受けます。これに先立ち、荷主へのお詫びと弁償金の立て替え払いは通運事業者が行います。
ここまで読まれて違和感はありませんでしたしょうか。事故を起こした張本人は事故報告書を通運事業者に「書かせ」、それをおもむろに「承認」する。そして通運事業者は事故のお詫びと弁償金支払いを「代行する」。文字通り「国有鉄道」だからいたしかたないのかもしれませんが、それまで国際物流のフォワーダー業務を経験していた筆者にはどうしても理解することができませんでした。
官僚体質といってしまえばそれまでですが、矛盾を多く抱えた鉄道貨物はすでに限界を迎えていたのかもしれません。
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1.赤ちょうちんと貨物列車

「あのころふたりのアパートは
裸電球まぶしくて
貨物列車が通ると揺れた
ふたりに似合いの部屋でした」
(作詞 喜多条忠 作曲 南こうせつ)

20代、30代にはもうほとんど知られていないかもしれませんが、フォーク世代といわれる年代の方ならピンとくることでしょう。1974年に発表されたフォークグループ「南こうせつとかぐや姫」の名曲「赤ちょうちん」の一節です(歌詞著作権に触れたらごめんなさい!)。
この印象深い歌詞は、貨物列車がまだ身近な存在であったことを伝えてくれます。この頃、踏切で延々と続く貨物列車をイライラしながら待った経験を持つ方も少なくないでしょう。
「赤ちょうちん」は大ヒット曲「神田川」に続いて発表されたと記憶しています。「神田川」はタイトルの通り、神田川に面した三畳一間の下宿での話でしたから、「赤ちょうちん」も同じような舞台設定だったのではと想像されます。少々こじつけになりますが、そうすると、裸電球がまぶしい二人の部屋を「揺らした」のは、山手線を走っていた貨物列車だった可能性が高いということになります。
今は見ることもなくなったこの山手線を走る貨物列車。実は、この消えてしまった貨物列車と昨今のドライバー不足は無縁ではありません。今回は少し時代を遡って、そのあたりの事情を掘り起こしてみたいと思います。



2.かつては鉄道が主役

いまや鉄道輸送は、一般的にはもっとも馴染みが薄い輸送手段かもしれません。普段私たちが目にする新幹線や通勤電車から、貨物列車を連想するにはギャップが大きすぎるでしょう。実際、国内輸送機関に占める割合が、トンキロ(輸送トン数×輸送距離km)でわずか5%にしかすぎないのでは無理もありません。
ところが昭和30年(1955年)の統計によれば、当時国鉄が担っていた鉄道輸送はトンキロで52.6%、トラックは11.7%です。当時の国内輸送では鉄道が「主役」だったのです。
なにしろ、80年代初めまで池袋、渋谷、新宿、秋葉原、飯田橋といった山手線を始め都内の主要駅には必ず「貨物駅」が併設されていたのです。
この頃の鉄道貨物は、旅客とは別に敷設された貨物専用線路の上を、主に「貨車(ワム)」と呼ばれる車両で運ばれていました。貨物専用線路を走る貨車1両にはおよそ30トン積載できますので、それだけで大型トラック3台分の輸送力があったわけです。
しかも、ビールや紙など大量のロットで長距離輸送される製品は、通称「ビール列車」「紙列車」という専用列車を仕立てていました。専用列車は、本線からの引き込み線によって工場内倉庫の軒先まで入構し、直接製品を積み込むことができました。今にして思えば、トラックによる横持ちゼロの実に効率的でエコな輸送です。
鉄道による輸送の利点は、いうまでもなく長距離で大量輸送が可能となり、列車の運転手を除けばドライバーも不要となることです。ただここで問題となるのは列車編成作業でした。全盛期の国鉄貨物は、貨物列車を操車場で組替えながら貨車を継送し、各駅で貨車を切り離す「ヤード輸送方式」が主流でした。この方式では、膨大な操車場が必要となるうえ、列車の組み換え、切り離しなどに時間がかかり、貨物到着までのリードタイムが長く、しかも不確定という欠点がありました。しかも、連結作業をする際の衝撃によって、積載貨物が破損するなど、荷主からの信頼度はあまり高くありませんでした。筆者の拙い経験ですが、ビール列車が青森の操車場で連結作業に失敗し、当時はガラスビンであった3両分のビール90トンが破損、ヤード内に流れ出してしまうという事故もありました。
この不便な鉄道貨物が次第に衰退した末に、大変革の日を迎えることになるのはある意味、やむを得ない時代の流れだったといえましょう。次回は、日本の物流が大きく転換した「その時」をご紹介しましょう。
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1.1枚のファックス

前筆者がある中堅運送会社の配車事務所にお邪魔していた時のことです。配車事務所はどこも同じですが、配車オーダーが集中する昼ごろから深夜にかけては、ひっきりなしに入る電話とeメール、オーダーデータの受信などの業務が集中し、戦場のような様相を呈します。今では、配車データの大部分が出荷元のWMS(Warehouse Management System)のピッキング作業に連動していますので、限られた時間内に配車業務を完了しないと、物流センターでの出荷を始められません。
それだけに、配車担当は昼食はおろかトイレに行く時間も惜しんで、パソコンの画面に向かい、配車表に書き込みをしながら配車を行います。荷主、出荷元、出荷先、傭車など関係先とのファックス送受信も途切れることはありません。TMS(Transport Management System:配車管理システム)の普及によってIT化が進んでいるとはいえ、現実の配車業務は、こうしたソフトウェアと手書き帳票、電話、ファックスといったマニュアル業務が入り乱れた「ハイブリッド」な作業なのです。
「こういうのがよく来るんですよ」。山積みされた書類の中から1枚のファックスを取出し、うんざりしたような表情で配車担当がつぶやきました。その紙には「昨日の拘束時間が15時間を超えています。改善してください」と書いてあります。どうやら昨日運送会社の手配した傭車先からのファックスのようです。
ファックスにはトラックのタコグラフ(運行記録票)の記録が付されています。概略は右の通りです。ドライバーは朝4時に出社し、A物流センターで製品積込を行って、9時に届け先への配達を完了しました。ここまでは順調です。
その後、2ヵ所目の集荷先であるC物流センターに到着したのが11時。そこで待機が始まり、積込みが終わったのが17時。届け先へ配達が完了して19時半に帰社しました。
この日のドライバーの拘束時間は15時間半。ファックスはこの事実を「何とかしてくれ」と訴えたものでした。。



2.拘束時間にイエローカード

このファックスは2つの重大な問題を指摘しています。1つはドライバーの拘束時間と休息期間です。トラックドライバーの労働時間については、平成元年に労働省から「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」が告示されています。ずいぶん以前から定められている割には、あまり関心も高くなくアバウトな対応をしていた運送会社も少なくなかったのですが、ここへきて状況は一変しています。
理由は2012年4月に起きた、関越自動車道の居眠り高速バスによって乗客7名が亡くなるという大事故です。防音壁に突き刺さったバスの衝撃的な映像を忘れられない方も多いと思います。
この事故をきっかけに、とくにドライバーの勤務実態に関する旅客・貨物運送会社への国の監査が厳密に行われるようになり、各社は車両の運行管理に最大限の注意を払うことを余儀なくされているのです。
ちなみに拘束時間と休息期間に関する告示の内容は右の通りです。1日の拘束時間は13時間。延長する場合でも16時間まで、そして15時間を超える回数は1週間に2回以内です。休息期間が勤務終了後8時間以上です。この2つの条件はどちらか一方でも超過したらアウトです。たとえば拘束時間が16時間を超えてしまったら、残りの休息期間は8時間を切ってしまいますから、条件を満たさないわけです。いわば規則通りに運用することになっただけの話です。もっとも、これが法定限度ですから、ずいぶん過酷な業界と思いますが。
先のファックスは「15時間をすでに1回超えた」というイエローカードだったのです。




3.近場で拘束時間オーバー

もう一つの問題は、C物流センターに到着してから積込みが終了するまで6時間かかっていることです。これは待機車両が溢れていたというよりも、物流センターでの積込み順序の問題です。
C物流センターでは、配達が遠い順番に積込みを開始するため、たまたま近隣の届け先を積み込む予定だった当該車両は後回しにされてしまいました。その結果がセンターでの6時間待ちです。ドライバーはこの日の拘束時間の4割近くを積込み待ちの車両の中で過ごしたわけです。
拘束時間の超過というと、まず長距離トラックを思い浮かべるところですが、今回は物流センターでの積込みスケジューリングによって、地場配送での「逆転現象」が起きてしまったのです。遠い届け先から積み込むという手順自体は正しいのですが、もう少し柔軟な対応ができないものかと考えざるを得ません。
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1.トラックの運行効率はどう図る?

前回、納品時間指定と納品先での荷卸し待ちが、トラックのムダ使いを発生させていると指摘しました。ところで、トラックの運行効率とは何でしょうか。運行効率を表す指標には次の4つがあります。
(1)実働率
一定期間内に、保有全車両中何台が実際に稼動していたかを表す管理指標です。もちろん、実働率は100%に近いほど運行効率が高いことを示します。
実働率が低いのは、点検、故障中などのやむを得ない事情の場合もありますが、そもそも仕事がなくて稼働できない場合もあります。最近では反対に、ドライバー不足の結果として、車があるのに動かせないケースが増えています。
(2)実車率
車両の全走行距離に対し、実際に貨物を積載して走行した距離を把握する管理指標です。往復運行で、往路のみ貨物を積んで走行し、復路を空荷で走行した場合、実車率は50%となります。実車率では、次に説明する「積載率」は加味しませんから荷台に貨物を少しでも積んでいれば「実車」とみなします。
(3)積載率
車両の最大積載可能重量に対する、実際に積載した貨物重量の割合を示す管理指標です。荷台の積み付け方法の工夫や共同配送などによって、運行ごとの積載率を100%に近づけることが求められます。ただし、100%を超えると過積載(違法行為)となりますので十分注意が必要です。
容積勝ちの貨物を積載する場合は、最大積載可能容積を分母として計算するなど、臨機応変な管理も必要です。
(4)回転率
一定期間内に、保有全車両が1日平均何回運行していたかを表す管理指標です。回転率は大きいほど運送収入が多くなります。
一般的に長距離輸送では回転率は低くなりますが、地場輸送の場合回転率を上げて運賃収入を増やすことが、利益に直結します。

この4つの運行効率指標はそれぞれ一長一短があり、どれか1つを取り上げて運行効率の良し悪しを判断することはできません。たとえば、実車率には貨物の積載率が反映しませんから、10トン車に1トンしか積載しなくても100%になってしまいます。また、積載率には走った距離が含まれてしませんので、10トン車に10トン積んで10km走り、残り90kmを空車で走っても100%となってしまいます。
このように、運行効率は4つの指標をバランスよく比較し、総合的に判断しなければなりません。最近ではデジタコ(デジタル・タコメーター)の普及に伴い、多くの運送会社でこのような指標を容易に収集することができるようになりました。ただ残念ながら、データは集めてもその解析ができない、あるいは解析をしている余裕がない、というのが実態のようです。
指標の意味はほとんどの運送会社の従業員が理解しているものの、収集されたデータから、トラック運行上の課題を整理し、解決策を考え、実行する、という改善ステップに活用していないのです。せっかく集めたデータが「宝の持ち腐れ」となってしまっています。



2.トラックの回転率がカギ

では、この中からトラック会社の利益にもっとも影響し、ドライバー不足対策にも直結する指標はどれでしょうか。強いて挙げるとすれば、それは「回転率」です。実際、運送会社の多くがトラックの回転率を高めることにもっとも注力しています。とくに地場配送の場合、統計的にみても積載率や実車率より、1台で仕事を何回こなしたかという回転率と利益との相関関係が強い傾向がみられます。回転率を上げることはドライバーの有効活用にもつながります。
こうみてくると、最重要指標である回転率を低下させる納品時間指定と納品待ちが問題の元凶の一部であることがわかります。




3.トラックの運行に合わせて作業を組み立てる

こうなってきますと、「物流センターの作業時間に合わせて納品車両、配送車両を手配する」というこれまでの常識を覆して考えざるを得なくなるかもしれません。つまり、貴重な「有限資源」であるトラックの運行効率、なかでも回転率をアップさせるため、「トラックの運行に合わせて作業する」のです。
納品車両が到着したら荷卸しを行い、その間に配送車両が到着したら同時に出荷積込みも行う、といった臨機応変で柔軟な作業を行うのです。物流センターの荷役スペースや人員も増やさなければならないかもしれませんし、入荷後即出荷といった「スルー型」の運用も難しくなるかもしれません。
センター運用の専門家の方からは「何をバカな」といわれそうですが、筆者には深刻な車両不足がすぐそこまで迫っている昨今の状況から、どうしても絵空事とは思えないのです。


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1.不合理な商慣行

前回まで、人手不足緩和に向けて物流業界として取り組むべき対策を考えてきました。このあたりで、そろそろ荷主として考えなければならない課題に踏み込んでいきましょう。
荷主の課題は本質的な課題でもあります。そもそもドライバーが運んだり作業員が扱ったりする原料や商品は物流事業者が自ら作り出せるものではなく、製造、販売といった企業活動の結果発生するものです。そしてその物流オーダーを発するのは荷主だからです。つまりこの問題に踏み込むことは物流の発生原因に踏み込むことであり、それゆえに本質的といえるのです。
この筆頭に挙げられるのは「不合理な商慣行」です。ただ、この問題も掘り下げていくと根が深いことがわかります。商慣行も元をたどれば、特定の業態だけに定着しているわけではなく、前後のサプライチェーンとの密接な関わりの中で、いわばやむにやまれず行われているケースがほとんどだからです。さらに遡れば最終的には私たち消費者の「買い物行動」に行き着いてしまいます。



2.納品時間指定はトラックのムダ使い

まずはドライバー不足に直結する、トラックのムダ使いの問題から考えていきましょう。トラックをムダに使う最たる商慣行は、納品時間指定とそれに伴う待機時間でしょう。メーカー、卸、小売りといった業種を問わず、たいていの納品には時間指定があります。
なかでも、食品・日用雑貨卸、量販店の物流センターなどへの納品指定時間は午前中、それも9時や10時に集中しています。どういうことが起きるでしょうか。
時間指定を受けたドライバーがもっとも恐れるのは、指定時間に遅れて怒られることです。そうすると、早めに指定場所、もしくはその近隣まで到着して時間調整をするのが人の常です。
その結果、ほとんどの納品車両は指定時間より早い時間に納品場所に到着しますから、必然的に荷卸しの待ち時間が発生することになります。ある運送会社の経営者は「ドライバーは9時指定なら6時から並ぶ」と指摘します。指定時間の9時から並んだのでは、荷卸し待ちで午前中が潰れてしまうこともあるからです。中には、「あそこはどうせ9時に行っても待たされるのだから、11時頃にゆっくり行けばいい」と考える要領のいいドライバーもいますが、少数派です。
昨年日本路線トラック連盟が行ったアンケート調査によれば、60分以上の手待ちが発生する割合は24.5%で、5~6時間の手待ち事例もみられるとのことでした。こうした待ち時間の発生によって、本来一日3回配送できるトラックの回転が2回、1回になってしまうわけです。これでは、一日に数十件の荷受け先に配達しなければならない特別積み合せ便などでは商売になりません。こうしていまや貴重な「有限資源」なりつつあるトラックがムダ使いされているのです。




3.1社だけでは解決しない

「こんなムダな時間指定は止めてしまえ」と指摘するのは簡単です。ただ問題はそれほど単純ではありません。
物流センターでは、たいていの受注オーダーが午前中から15時ころまでに締め切られて出荷が開始、夕方までにはトラックへ積み込んでそのまま配送するか、翌日に配送するために商品を積んだまま車庫へ戻ります(これを宵積みと呼びます)。そのため、出荷が始まらない午前中に荷受けを済ませてしまおうとするので、午前中に納品指定が集中するのです。午前中に荷受けした商品をそのまま午後に出荷すれば、在庫を最小化することもできます。
このようなパターンがメーカーから、卸、小売りの荷受けセンターへとつながる複数のサプライチェーン上で延々と起きているわけですから、1社だけスケジュールを変えて済む話ではありません。
では指定時間を車ごとに変えればいいのでしょうか。整然と流れる工場のラインではなく、不確定要素だらけの公道を走っているトラックでは、それも単純ではありません。
筆者があるメーカーの工場構内の物流コンサルを行った時のことです。工場はどこでもそうですが、構内では入場するドライバーの服装、安全具、車両の通行レーン、運行速度などの安全ルールが厳密に決められていました。原料を納品するトラックの入場時間にも厳密な指定がありました。たとえば1号車は9時納品、2号車は9時半納品、といった具合です。指定時間より早くても遅くてもいけません。仮に早く到着しても工場への入場は許されません。
この原料は、200kmから300km離れた倉庫から大型車で納品されていました。途中の不確定要素は距離と時間に比例して増えるわけですから、これほどの距離を走ってきてジャストインタイムで工場に到着するとなると、相当早めに出荷元を出発しなければいけません。当然、到着地周辺での待ち時間が発生します。
ところが、考えてもみてください。今の日本に大型トラックを止めて時間をつぶす場所がどれほどあるでしょうか。「ちょっとコンビニに立ち寄って100円コーヒーでも飲んで」というわけにはいかないのです。




4.納品待ちがドライバー不足を救う?

この荷卸し待ち時間の存在がドライバー不足を救っている面もあります。ある運送会社の労務担当によれば、ドライバー不足の中にあっても、近場の配送(地場配送と呼びます)には比較的応募があるといいます。待ち時間が多くて楽だからだそうです。たしかに、神経を使う運転時間が少なく、運転席でボーっと時間を過ごしていられるのですから、わかるような気もします。何とも皮肉な話です。
次回はこの複雑でやっかいな納品時間の問題について、トラックの運行面からもう少し考えていきましょう。
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1.ひっそり消えた物流新幹線

「東海道物流新幹線」という言葉を聞いたことがありますか?この話題を持ち出すと、業界に詳しい人なら「何を今さら」、そうでない人は「そんな計画あったの?」という感想を持たれるかもしれません。案の定、ある連載企画にこのテーマを取り上げようとしたら、編集委員の一人から「今さらという感がある」との感想をいただきました。
たしかに、この構想が発表されたのは2009年12月。リーマンショックの真っただ中の景気の急激な悪化と貨物量の減少、そして止まらない運賃の下落で、物流業界はそれどころではなかったのです。たいして話題にもならず、ひっそり消えていったそんな話題をなぜいまさら蒸し返すのか、というのは至極もっともな指摘なのかもしれません。
ただ、筆者には「今さら」ではなく、「今でしょ」と思えてなりません。構想が世に出た時期と今では環境がまるで変ってしまいました。当時、業界関係者や一部の識者を除き、トラックドライバー不足がこんなにも早く、しかも深刻な形で訪れると考えている人は少なかったと思います。その意味で、時期尚早、よくいえば時代を先取りしすぎだったのかもしれません。
前回まで、ドライバー不足緩和のため物流業界の中でできることをいくつか考えてきました。トラガール、経営者の意識改革、外国人労働者の起用など、それぞれに意義のある、取り組むべき方策です。しかし、どれもそれなりの緩和効果が見込めるものの、決定打にはなりえません。残念ながら、これから私たちが迎えようとしているドライバー不足は、このような対応だけで乗り越えられるレベルをはるかに超えていると認識しなければなりません。



2.東海道物流新幹線(ハイウェイトレイン)構想とは

東海道物流新幹線(ハイウェイトレイン)とは、新東名・新名神高速道路の中央分離帯や既着工の使用未確定車線などを最大限活用し、物流の大動脈である東海道ルート(東京〜大阪間)に、最先端の技術を駆使した「物流専用鉄軌道」の開設を目指す構想のことです。JR貨物の設置した有識者、業界関係者10名による「東海道物流新幹線構想委員会」が2009年12月に発表しました。
設置した専用軌道には、45フィートから20フィートまでのISO規格コンテナを積載した自動無人運転の貨物列車を走らせます。貨物列車の平均時速は、約100km。東京〜大阪間600kmに最大25両程度の列車を運行することにより、1日20万トンの貨物を運ぶことができます。
期待される効果は小さくありません。まず、貨物が鉄道にシフトされることによって、トラックの燃料軽油が東京ドーム1.5杯分に相当する、年間約18億リットル節約されます。もちろん、その分電気エネルギーを消費するわけですが、水力、太陽光、風力、地熱など再生可能エネルギーとのエネルギーミックスを考慮すれば、貴重な石油資源の使用量は確実に減少します。CO2排出量も300万トン減らすことができます。
 東名、名神といった大動脈の高速道路を走る大型車両が激減するので、交通事故が減り、一般のドライバーも安心して走行できるようになります。
そして、何といっても最大の効果は、もっとも深刻である長距離トラックドライバーの不足を大幅に緩和することができることです。ドライバー不足自体も解消してしまうほどの効果も見込めるかもしれません。




3.構想はなぜ消えた

この構想が消えてしまった理由は、先にも述べたように経済環境がマッチしていなかったからです。「貨物を奪われる」ことを懸念したトラック事業者の反発もあったと聞きます。
また、構想の主目的がCO2排出量の削減にあったことも、インパクトを弱める一因であったと考えられます。
おそらく最大の要因は当事者であるJR貨物の経営状況でしょう。グラフにあるように、JR貨物の鉄道貨物事業は赤字です。貨物新幹線建設に必要な膨大な投資を負担するのは到底無理です。




4.構想実現には

東海道貨物新幹線の建設工事費は当時で2兆円と見積もられていました。費用をすべて自社で負担してしまう財務力のあるJR東海と比較するのは酷かもしれませんが、品川〜大阪間のリニア新幹線は6兆4,000億円です。経営が別とはいえ、これだけのお金をかけるのであれば、せめて貨物にもう少し回してもらえないだろうか、と感じるのは筆者だけでしょうか。
物流は私たちの生活を根底から支えるインフラである、という認識に立てば、やはりここは国の関与、支援が不可欠になるのでしょう。高速道路上にはすでに、未利用車線はほとんど残っていない、ともいわれています。その場合には、在来線を利用した専用列車運行や、かつては存在した貨物専用線の復活など、企業の壁を超え調整も必要となります。
ドライバー不足というかつてない危機に直面した今こそ、構想の復活と国を挙げての取り組みを期待したいところです。

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